目次
Kyber Networkとは?
Kyber Network(KNC)は、DEX(分散型取引所)の機能と決済APIの機能を備えるイーサリアムベースのプロトコルです。
新しいタイプのウォレットと便利な決済機能を提供することで、誰でも簡単にトークンが取引できるようにするために開発されました。
0xプロジェクトと似ていますが、Kyber Networkはすべてのアクションがイーサリアムのブロックチェーン上で行われることが特徴です。そのため0xのようなオーダーブックは存在しません。
ICOでは、たった3日間で5,000万ドル(52,5億円、1ドル105円換算)を調達するほど期待されています。また、アドバイザーとしてイーサリアムを開発したVitalik Buterin氏(ヴィタリック・ブテリン)が名を連ねています。
Kyber Networkの特徴やメリットとは?
従来の仮想通貨取引所が抱える課題を解決するために開発されたKyber Networkは他の取引所にはない独自の特徴があります。
従来の仮想通貨取引所が抱えていた課題とは?
まず、他の仮想通貨取引所が抱えていた課題を確認してみましょう。
中央集権型取引所では、セキュリティ上の脆弱性と処理時間が遅いことが問題でした。特に前者については度々ハッキングによる被害が発生しており、ユーザーにとって最大の懸念点でしょう。
一方、従来の分散型取引所は、ユーザーが少なく流動性が低いため、すぐに取引を実行できないことが課題でした。
2018年4月現在、EtherDeltaのような分散型取引所では、1日当たり約400万ドル(4.2億円)ほどの取引しか実行されていません。
BinanceやBithumbのような中央集権型取引所では、毎日何十億ドル(何千億円)もの取引が行なわれていることを考えれば、まだまだ取引ボリュームが少なく取引に時間がかかるのが現実です。
リスクなしで迅速な取引が可能
上記の欠点を克服するために誕生したのが、Kyber Networkです。
個人情報の登録が必要なく、かつ取引を行うために法定通貨やイーサリアムを預ける必要もありません。そのためハッキングによって情報や資産が盗まれる取引所リスクはありません。
また、独自のシステムにより取引は即時実行されるので、トランザクションが確定するまで待つ必要はありません。
決済APIへの期待
個人から事業者まであらゆる取引主体が、異なる通貨で取引が可能であるため、決済での利用が期待されています。
トークンの送受信を媒介するKyber Networkは、P2P取引とICOトークンの取引に最適な手段になるかもしれません。 送信者のトークンは、受信者が欲しいトークンと一致する必要がないことも大きなメリットです。
Kyber Networkの決済APIを使えば、ETHが必要なICOの資金送信から個人商店の支払いまで、自分の好きな通貨で支払うことが可能となるのです。
Kyber Networkの仕組みとは?
Kyber Networkを利用した取引は、ユーザーにとってはとてもシンプルですが、システム上では複数の主体がそれぞれの役割を担って取引を成立させています。
まずは、実際の取引した例を確認した後、システム上の役割分担と取引が実行されるまでの役割を説明していきます。
どのように使えるのか?
まずは、実際にKyber Networkを使った取引はどのように行われるのか、以下の個人間取引の例で確認してみましょう。
- AさんがBさんに、 0.01 ETH(イーサリアム)を借りているとします。 しかし、AさんにはREP(オーガー)しかありません。 BさんがREPではなくETHが欲しい時に、AさんはKyber Networkを使ったトランザクションでこの問題が解決できます。
- まず、AさんはKyber Networkのインタフェース上で変換レートが1ETH=16REPであることを確認します。
- Aさんは0.01ETHをREPに交換してBさんに送付するようKyber Networkにリクエストを送ります。 Kyber Networkは、Aさんのウォレットに十分な額のREPが含まれていることをチェックします。
- 無事承認されたら、Bさんのアドレスに0.01 ETHが送付されます。 Kyber Networkの一般的なウォレットでは、BさんにはAさんのアドレスから直接0.01ETH送られてきたかのように見えます。
- 最後に、AさんのREPと少額の手数料が、Kyber Networkのプールに追加されることになります。
Kyber Networkにおける役割
Kyber Networkには以下の役割があります。
- User:Kyber Networkにトークンを送信したり、Kyber Networkからトークンを受信したりします。 個人や事業者など、アカウントを保持していれば誰でも利用することができます。
- Reserve Entity:プラットフォームに流動性をもたらします。 Kyber Network自身と登録済みのユーザーがこの役割を担います。後者は、在庫となる仮想通貨を提供しているか否かによってパブリック型とプライベート型に分類されます。
- Reserve Contributor:在庫となる仮想通貨を提供します。パブリック型のReserve Entityとだけ連携して利益を共有します。
- Reserve Manager:在庫となる仮想通貨の管理や、為替レートの計算及び入力を行います。多くのReserve Managerがいることで分散管理されています。彼らが提示した取引レートのうち最も良いものが採用され、そのスプレッドが利益となります。
- Kyber Network Operator:Reserve Entitiyの追加と削除や、リストされているトークンを制御するなど全体の管理を担います。 現在はKyberチームがこの役割を担っていますが、最終的には分散型の管理方法にシフトすることがアナウンスされています。
Kyber Networkにおける取引の流れ
取引はどのように実行されているのでしょうか。その仕組みについて詳しく見てみましょう。
まず、Kyber Networkには、Reserve Contributorによって在庫となる仮想通貨が提供されています。The Reserve Managerによってレートが提示、Kyber Network Operatorによってレートが決定されます。
Kyber Network Operatorがリストの管理を行い、取引を実行されます。
実際には在庫の仮想通貨から取引が実行されていますが、Kyber Network Operatorによって即座に取引が実行されるので、ユーザーはあたかも取引相手と直接送受信が行なわれているかのように感じられるのです。
KNC(Kyber Network Crystal)トークンとは?
Reserve Managerが、取引量に応じて手数料としてKNCトークンを支払います。提示したレートには、スプレッドを上乗せしており利益を得ているからです。
また、Kyber Networkに誘導したアプリやサイト、ブロックチェーンエクスプローラー、ソフト/ハードウェアウォレットなど、Kyber Networkの普及に貢献した人たちに報酬として支払われます。一部は、運営費用にも充てられています。
Reserve Managerが支払った手数料から、これらの報酬と費用を差し引いて余った大部分は流通から除外される仕組みとなっており、これがKNCトークンの値上がりが期待されている一因です。
Kyber Networkの課題とは?
Kyber Networkはその独自のシステムがゆえ、他の取引所にはない課題があります。
理想的なレートを提供できるか
Kyber Networkは販売所の形式に近いと言えます。即座に取引を実行できる代わりに、提示されているレートにはスプレッドが上乗せされています。
これがReserve Managerのインセンティブとなっていますが、競争相手がいないとUserに不利なレートしか表示されません。
十分なReserve Managerを確保し、適切なレートを提供することが普及のカギとなるでしょう。様々なプロジェクトと協力してこの問題を解決していくようです。
Reserve contributorのリスク管理
Userには資産を失うリスクはありませんが、在庫を提供しているReserve contributorはハッキングリスクを抱えています。
在庫の管理は、透明性が高く取引が全て追跡できるマネジメントの方法を採用し、送信先のアドレスを限定するなどの対処をしているようです。
Kyber Networkのこれから
分散的な改善策
バグ報酬プログラムを実施しています。主要なバグの発見には、2万ドル(210万円)ほどの報酬、深刻なバグの発見には、5万(525万円)ドルほどの報酬が支払われます。
また、前述したようにKyber Networkが担っている役割も分散的な管理体制にシフトさせていくことが決定しています。
Kyber Networkのロードマップ
Kyber Networkの公式サイトでは、ロードマップが公開されています
- 2017年の夏:テスト版のローンチ
- 2018年第一四半期:メイン版のローンチ
- 2018年第二四半期:サポートするERC20トークン数の拡大
- 2018年第四四半期:ヘッジファンドなどの先進的な金融商品のサポート
- 2018年末から2019年初めにかけて:クロスチェーン取引のサポート
決済機能も持つ分散型取引所Kyber Networkに期待!
Kyber Networkを使えば、誰でも簡単に仮想通貨やトークンが取引できるようになります。
様々なプロジェクトとの協力に成功すれば一気に普及する可能性があるので、今後の動きに注目です!
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