予測市場

Augur(オーガー/REP)とは?特徴や将来性を解説!

イーサリアムブロックチェーンのスマートコントラクト技術による分散型アプリケーション(dApps)の中でも分散型予測市場プラットフォームであるAugur(オーガー)について、詳しく解説していきます。

Augur(オーガー)とは?

Augur(オーガー/単位REP)はJames Surowiecki氏が提唱した「群衆の知恵」(The Wisdom of Crowds)に基づいた分散型のOracle(オラクル)及び予測市場プラットフォームです。

群衆の知恵とは、大衆による情報は最も高い可能性に平均化され、少数精鋭の専門家よりも正確な予測を可能にするという考え方であり、Augurのメインアイディアとなっています。

また、分散化によるユーザー同士の監視を可能にする性質から、トラストレス(信用不要)で取引が行える点もAugurの特徴の1つとなっています。

Oracleとは、ネットワーク外部に存在するデータを内部に持ってくるシステムのことを指し、最新情報の更新や予測結果の反映を担います。つまりブロックチェーンと現実世界を繋ぐ仲介者の役割を果たしています。

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Augurの目的は、世界中の人々自らが真実を検証・事実認定を行うことで予測市場に革命を起こすこと、さらには財政を民主化し分散化を図ることです。

つまり、ビットコインが分散型通貨を、イーサリアムが分散型計算を、そしてAugurは分散型金融システムをもたらすことで、世界中の誰でも、どこでも、いつでも低コストでの予測を可能にすることを目指します。

また、Augurはイーサリアムブロックチェーンのスマートコントラクト技術による主要な最初のdApps(分散型アプリケーション)でもあります。

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他のdAppsにはゲームのEtheremon(イーサエモン)や取引所のEtherDelta(イーサデルタ)、そしてビットコインをはじめ多くの暗号通貨(リップル等の例外もある)が挙げられます。

Augurのメリット

イーサリアムのスマートコントラクトを利用しているため仲介者を必要せず、その分手数料の大幅な削減が期待出来ます。

Betfair(イギリスの大手集権的ブックメーカー)では10%以上の手数料を支払う必要がありましたが、Augurではそれは1%以下になるとされています。

また分散型であるため、集権的なプラットフォームの課題である単一障害点はなく、サーバーダウンの危険性が低い強固なシステムを実現しました。

さらにはブロックチェーンによるトラストレスな性質により、イベントの結果についての質問や参加したい市場株式の売買において、個々のレポーターを信頼する必要はありません。

それにより、世界中の誰もがいつでも、どこにいても、Augurの市場に参加できるシステムとなっています。

AugurのICO

Augurは資金調達として、ICO(Initial Coin Offering/クラウドトークンセール)を2015年8月17日から9月5日の期間に開催しました。現在はベータ版が公式サイトにて公開されています。

ICOとはまだ販売されていない暗号通貨の予約権を売りに出すことで、新規公開株のIPO(Initial Public Offering)にならったものです。

Augurは最終的に当時レートで5,318,330ドル(6億円以上)の資金調達に成功しました。これはイーサリアムの18,439,086ドル、Liskの5,880,089ドルに次ぐ第3位の価格となっています。

その価格は人気殺到で急騰し200倍にも膨れ上がりました。つまり100万円投資の場合には2億円もの利益が出たことになります。このように一攫千金を狙えるICOですが、詐欺の可能性もあるため細心の注意が必要です。

Augurの開発チーム

Augurは共同設立者の2人、Jack Peterson氏とJoey Krug氏によって2014年に考案されました。Peterson氏はカリフォルニア大学の博士号を持ち、元国防科学技術院卒業研究員でもあります。

一方Krug氏は、ポモナ大学在学時に2016年度のThiel Fellowshipを受賞しています。これはPayPalの共同設立者Peter Andreas Thiel氏によって創設された奨学金です。

20名の受賞者は年間10万ドルを授与され、ベンチャーを立ち上げることができます。イーサリアムの共同創始者でありAugurのアドバイザーでもあるVitalik Buterin氏も2014年に受賞しています。

他にもアドバイザーには、PARADEX(分散型取引所)のCEO、Ron Bernstein氏、経済専門家のRobin Hanson氏、EnlightedのCEO、Joe Costello氏らが挙げられます。

さらにはLightning Networkの共同創始者であるElizabeth Stark氏もアドバイザーとして携わっており、これらの名だたる面々が集まったAugurはかなりの期待が出来るのではないでしょうか。

予測市場とは?

そもそも予測市場とはどのようなものでしょうか。簡単に言ってしまえば未来の出来事の結果を賭け対象とするギャンブルの一種です。

予測市場は、大統領選挙やワールドカップなどのイベントで誰/どこが勝つか、ノーベル賞を誰が取るかの予想をはじめ、天気や株の値動きなど、どんな話題でも予測対象にすることが出来ます。

現にKrug氏は、天候サイクルによってヘッジするアルゼンチンの農家や米国の株式市場にアクセスできない中国人トレーダー、さらにはより正確な診断を下すために医師もがAugurを使う可能性があると述べています。

予測市場は日本では賭博行為として禁止されていますが、欧米では盛んに行われており英国発のブックメーカーWilliam Hillが代表的です。しかし仮にここで賭けを行う場合、円からポンドへの両替が必要になります。

これだと手間も手数料もばかになりません。それに対しAugurなら、REPを用いることでこの問題を解決し、さらには非中央集権であるため中間搾取もなく、ユーザーのメリットがかなりあることが分かります。

また、全ての取引記録が残るブロックチェーンの透明性の高さから、不正が起きにくいということもAugurの特徴の1つであり、これがブロックチェーンと賭け市場の相性が良いと言われている理由となっています。

Augurの競合他社

2018年4月現在、Augurの時価総額は59位の約530億円(1位のBitcoinは約18兆円)であり、同じ予測市場プラットフォームのGnosis(GNO)は約130億円で140位となっています。

このGnosis(グノーシス/単位GNO)は、MartinKöppelmann氏によって創設されたAugur同様イーサリアムベースの予測市場でありAugur最大のライバルとして位置付けられています。

Gnosisは予測結果の評価がGnosis独自、つまり集権的なシステムで行われる点と、予測市場アプリケーションを生み出すためのプラットフォームである点が、Augur(結果判定には多数決)とは異なります。

つまりアプリケーションを生み出すGnosis自体は予測市場ではありません。THE HUNCH GAME(ハッチゲーム/有名人のゴシップ予測)等の予測市場アプリケーションがGnosis上に展開されています。

しかし両者とも同じ分散型のプラットフォームではあるため、中央集権的な予測市場(上述したWilliam Hillや同じく英発のブックメーカーBetfair)とは一線を画すため、一種の仲間でもあります。

Augur市場と取引

Augurの市場はクリエイターが予測対象の質問のみならず、イベントの開始・終了時間や決済手数料など、細かい設定を行うことから始まります。

そこで出来た市場に対しユーザーはREPを賭けてYES or NOで投票出来るイベントに参加します。これがレポーターによるコンセンサスと正しければREPが貰え、反対に間違っていれば没収されるという仕組みです。

レポーターによる分散型事実認定

イベント結果の答え合わせには、多数のレポーターという分散されたユーザーがイベントの結果を報告(期間は30日)する「分散型事実認定」、つまり多数決が用いられています。

レポーターになるには、供託金を積む必要があり、割り当てられた市場における結果報告の義務(年に6回程度)を負います。これを怠ったり嘘の報告を行うとペナルティとして供託金が没収されます。

正しい(コンセンサスと等しい)報告を行ったユーザーには報酬としてAugur全取引市場費用の1/2200万REPと、ペナルティで徴収された供託金がAugurによって自動的に分配されます。

正しい報告を積み重ねればその分レポーターとしての評価が上がり、保持するREPの価値も上がります。これらがインセンティブとなってレポーターに正しい報告を促します。

コンセンサスへの異議申立て

コンセンサスが事実と異なっている等不服がある場合、市場が解決された7日以内であれば異議の申し立てが可能です。異議が通り新たなコンセンサスとして認められた場合には報酬としてREPを受け取ることが出来ます。

その場合、以前のコンセンサスに投票したユーザーはペナルティとして20%が没収されます。これによりレポーターは常に正しい報告を遵守し、結果的にトラストレスな取引が可能になります。

REP(Reputation)の特徴

予測市場プラットフォームのAugurは上述したようにREP(Reputation)という仮想通貨を用いて賭けを行います。そのREPの特徴をまとめたものが以下になります。

  • あらゆるアカウント間で送受信可能
  • 残高はAugurによって自動的に決定される
  • 総量は1100万コイン
  • ユーザーに投票権を与える
  • Augurの開発決定に投票できる権利(株式と同じ)

REPを増やすには

  • 市場の最終的なコンセンサスと同じ報告を行う
  • 割り当てられた(事実判定の依頼)市場についての報告を行う
  • 異議を申し立てて勝利する

REPが減少してしまう条件とは

  • 市場の最終的なコンセンサスと異なる報告をした場合
  • 割り当てられた市場について報告しない、または虚偽の報告を行った場合
  • 異議の申し立ておよびそれに敗北した場合

REP保持によるコスト

  • REPを所有する機会費用。
  • 割り当てられた市場での報告失敗による費用
  • REPの市場価値低下
  • 手数料支払いに使用される通貨の市場価値低下

REPの購入と保管について

REP購入にはBittrexやPoloniex、ShapeShift、Krakenなどほとんどの主要な仮想通貨取引所にて購入可能です。日本においては、コインチェックにてのみ、購入可能となっています。

購入したコインを取引所にそのまま置いておくのはリスクが高いので、jaxxやMist、MyEtherWallet等のウォレット、特にハードウェアウォレットのLedger Nano Sにて保管するのがオススメです。

Augurの今後について

Augurは分散化による仲介者不要な点と正しい予測報告を促す性質から、予測市場に留まらないさらに大きなプラットフォームへと成長する可能性を大いに秘めています。

特に保険のデリバティブ商品への応用が期待されています。これは、保険商品に加入する際の「自分は病気になるかどうか」という予測を立てるその作業をAugurで行い、コストも手間も大きく削減しようというものです。

そのような発展のためにも、予想市場プラットフォームとして成功を収めることがまずは求められるでしょう。そのためには以下の点を達成する必要があります。

  • William HillやBetFairなどの既存のブックメーカーに勝るシステム、料金設定であること
  • 1秒あたりのトランザクション数を増やしより早い取引を実現すること
  • ビットコインやイーサリアムのような基軸通貨(2018年4月にはインドの仮想通貨取引所KOINEXにおいて新たにリップルが追加)となる等、安定的なコインとなること

また、賭博行為は禁止されている日本ですが仮想通貨に関する法整備はまだまだ未熟です。そのためAugurはグレーゾーン的立ち位置にいます。

実際の運用や世界的な流通を目指すAugurの未来は、取引所のREPの取り扱い方や日本をはじめとした世界各国の法整備に懸かっています。これらの動向に今後も注目していきましょう。

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