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イーサリアム(Ethereum)の特徴は?
イーサリアムの特徴は何と言ってもスマートコントラクトです。イーサリアムはビットコインと同じように、ブロックチェーン技術を基盤としたものですが、ビットコインと異なる点は「契約情報」をブロックチェーンに保存できる点です。これをスマートコントラクトと言います。
そんなスマートコントラクトを実現するためのプラットフォームがイーサリアム(Ethereum)であり、開発者は自身のプロジェクトやアプリケーションをイーサリアムのプラットフォーム上で動作させることが可能です。
2018年4月時点で、イーサリアムの時価総額はビットコインに次いで第二位を誇っており、仮想通貨の中では代表的な通貨となっております。
イーサリアム(Ethereum)とイーサ(Ether)の違いは?
私も最初にイーサリアムについて学んだ時は、イーサリアムとイーサの違いがよく分かっておりませんでした。イーサは、イーサリアムの内部通貨として流通しているもので、ETHと表記されます。
イーサ(ETH)は他の仮想通貨と同様に、ウォレット等を用いて送金が可能でトランザクションの発行手数料やマイニングの報酬として利用されています。つまり、イーサはイーサリアムネットワーク上で扱われる流通通貨なのです。
ビットコイン(BTC)の最小単位がsatoshiであるように、イーサ(ETH)にも最小単位があり、「wei」や「ether」と呼ばれており、以下のように換算されます。
1ether = 1,000,000,000,000,000,000wei
ここまでの説明で、イーサリアム(Ethereum)とイーサ(Ether)の違いについて理解して頂けたかと思いますが、日常会話で使用される「イーサリアム」という言葉は、仮想通貨としてのイーサ(ETH)を指すことがほとんどになります。
そのため、「イーサのレート価格が〜」と言う人もいれば、「イーサリアムのレート価格が〜」と話す人もいますので、あまり神経質に違いを意識しなくても良いかと思います。
イーサリアムの代名詞!スマートコントラクトとは?
冒頭でも触れた通り、イーサリアム上で実行可能なプログラムにスマートコントラクトと呼ばれるものがあります。スマートコントラクトは直訳すると「賢い契約」となり、意味が分かりづらいかもしれませんが、一言で言うと「トラストレスな約束事を可能にする機能」です。
トラストレスを直訳すると、「信頼できない」という意味になりますので「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
皆さんが、誰かと契約や約束をする時、基本的には相手を信頼しているという前提のもと、その約束が交わされるかと思います。例えば、下記のような会話があったとします。
この会話の中で、1つ「約束事」が生まれましたね。この相手が、普段から仲の良い友人だったら特に問題は起こらないでしょう。しかし、これが素性も知らないような相手だったらどうでしょう?その相手が約束を守って10時にくる確証はあるでしょうか?
ここで、イーサリアムのスマートコントラクトの出番です。「トラストレスな約束事を可能にする機能」とはつまり、相手のことを1ミリも信頼していなくても、スマートコントラクトで行われた契約や約束事は必ず守られるのです。
そのため、「トラストレス」というようなまとめ方をさせて頂きました。皆さん理解できたでしょうか?
イーサリアムのスマートコントラクトは、様々な分野で応用が検討され、実際に開発もされつつあります。
不動産の登記情報をスマートコントラクトで管理
スマートコントラクトは、しばしば不動産業界と相性が良いのではないかと言われています。そこで、どういった応用方法があるのか簡単に解説します。
不動産売買を経験した方でないとなかなかピンとこないかもしれないのですが、不動産の登記情報は法務局で管理されています。
不動産登記とは、国民の大切な財産である不動産(土地や建物)がどこにあって、どれくらいの広さがあって、誰が保有しているのかといった情報を法務局の職員(登記官)が専門的な見地から正しいのかを判断した上でコンピュータに記録することをいいます。
不動産登記をすることによって、不動産に関する情報が公示されることから、国民の権利の保全が図られ、また不動産登記の取引の安全のためにも役立っています。
この不動産登記ですが、とにかく面倒なのです。申請する書類の書式もバラバラで、自分だけで完結するのは不可能で、係の人に聞かないと必要書類や記入方法、提出先も分かりません。
上記のように、素人には意味不明な複雑なルールがあるため、余計に人手が必要になるわけです。
そんな不動産登記をスマートコントラクトで管理できるのではないかと提言されているのです。イーサリアムのスマートコントラクトを使えば、登記官のような専門的な見地がなくても、どの不動産が誰のもので、代々誰が保有していたものなのか、どのように引き継がれてきたのかを一目で理解することが可能になります。
また、法務局での複雑な登記手順を踏まなくとも、イーサリアムのスマートコントラクトを活用すれば不動産登記の手続きは自動化され、人の手を介さず低コストでの運用が可能になります。
しかも、イーサリアムネットワーク上の流通通貨であるイーサ(ETH)を使用すれば、別途現金を振り込む必要もありません。
このように、スマートコントラクトを活用することで非効率な行政サービスを自動化し、PCやスマホから簡単な手続きを行うだけで利用できるようになれば、とても便利な世の中になっていくはずです。
イーサリアムの分裂騒動とは?DAOって何?
ここまで話してきた通り、イーサリアムは私達の生活を豊かにする可能性を大いに秘めています。そんな輝かしいイーサリアムですが、光だけではなく影の歴史があるのです。それがThe DAO事件です。
DAO(ダオ)は、2016年に立ち上がったプロジェクトで、投資の民主化を試みたプロジェクトです。DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略で「分散型自律組織」を意味します。
今日、投資は様々な手段で行うことができますが、その中の一つに投資ファンドと呼ばれるものが存在します。投資ファンドは、企業や機関投資家、個人投資家から集めた資金を運用します。
通常、投資ファンドにはファンドマネージャーが存在し、投資先の株式の銘柄を選んで運用しています。運用実績の高いファンドマネージャーは高給取りになる一方で、優秀なファンドに出資するためのハードルもきわめて高く、我々のような一般市民や個人投資家はまず参加できず、富豪層のみが運用実績の高い投資ファンドに参加できます。
そこで、DAOの登場です。分散型投資ファンドのDAOでは、投資先の選定は投資家全員の投票で決まります。DAOはイーサリアムのネットワーク上で稼働し、流通通貨はもちろんイーサ(ETH)です。
また、イーサ(ETH)とは別にDAOトークンという通貨も存在し、DAOはイーサ(ETH)と交換することが可能でした。参加者は、DAOトークンを受け取ってから、どのプロジェクトに資金を拠出するかを投票できます。
そんなDAOですが、残念ながらハッキングの被害を受け、総額3,600万ETHが失われてしまいました。DAOは当時、約150億円の資金を集めていましたが、そのうちの約75億円が盗まれてしまったのです(当時のETHレート換算)。
その結果、ハッキング以前の取引を無効とした「イーサリアム」と、そのまま継続した「イーサリアム・クラシック」に分裂したのです。これがイーサリアムの分裂騒動になります。
本来、イーサリアム等の仮想通貨はブロックチェーン上で管理されているため、一度ハッキングされた通貨を取り戻すことは不可能です。しかし、イーサリアムのリード開発者はブロックチェーン上の取引履歴を遡り、ハッキング被害者達に資金を返還しました。これが論争の的になり、イーサリアムのコミュニティの崩壊に繋がり分裂したのです。
イーサリアムのリード開発者が下したこの決断は、本来は禁じ手です。このように、「取引をなかったことにする」ことをハードフォークと呼びます。また、このハードフォークの方針の決め方も批判の的となりました。ブロックチェーンの思想としては、中央集権で誰かが管理をするのではなく、みんなで分散して管理をするから信用が担保されるという面があったのにも関わらず、ごく少数の運営者だけで決めてしまったので、それに反発する人たちが出てしまいました。
そんなハードフォークを乗り越えて、今のイーサリアムがあるのです。
イーサリアムでよく聞くGas(ガス)とは?
Gas(ガス)とはイーサリアムのトランザクションを実行する際に必要となる燃料のようなものです。そのまんまの名前ですね。
Gasはトランザクション実行時に消費され、1Gasあたりの価格Gas Price(単位はwei)と呼ばれるものがあります。消費したGasの量と、このGas Priceを掛け算した金額がマイナーに手数料として支払われます。ビットコインでいう取引手数料のようなものですね。
Gasは、イーサリアムの流通通貨イーサ(ETH)を使って支払われます。
イーサリアムの未来は?dAppsの登場
dApps(Decentralized Applications)とは、ブロックチェーン技術を活用した中央集権ではない分散型なアプリケーションのことです。
このdAppsですが、2018年現在、様々なアプリケーションが世界中で開発されております。本サイトでは、これらdAppsの事例などを紹介していますので、良かったら他の記事もぜひご覧ください。
イーサリアムは、誰でも簡単にスマートコントラクトを開発することができるため、dAppsを開発する際にイーサリアムネットワークを採用する企業がとても多いです。
イーサリアムでは、高水準プログラミング言語のSolidityが採用されており、開発者はSolidityを習得する必要があります。
イーサリアムを活用したdAppsでは、今後、ゲーム、予測市場、取引所(DEX)、データストレージ、ID認証、マイクロペイメント、ミキシングサービスなど様々な分野で応用されていくでしょう。
編集部おすすめのdAppsゲームはイーサエモンです!日本語にも対応しており、登場するモンスターも可愛く、初めてdAppsゲームを触ってみるという方には特にオススメです!